
人工知能の通訳・翻訳力がものすごいスピードが上がっています。
これにワクワク・恐れの感情が入り混じっている現役通訳が、
「人工知能に通訳という職業は奪われそうか」を考えてみました。
テクノロジーが英語通訳をしてくれる時代が到来するなか、はたして英語を勉強する必要があるかも考えてみましたので、参考になれば嬉しいです。
自動字幕機能がすごい!!
別の記事を書くのに英語のYoutube動画を視聴しながら、
自動生成される英語字幕を読んでいたのですが、
出演者が正しい英語を使っていれば、ほぼパーフェクトに字幕を作っています。
これはすごい成長なのではないかと。
というのも、つい数年前、人工知能は字幕どころか僕たちが話している単語でさえ認識できませんでした。
ほんの数年前までは人工知能が聞き取れたのはアメリカ英語だけだった
Appleの人工知能であるSiriが出た当初、すぐにそれが使えるiPhoneを買ったシンガポール人の上司とSiriで遊びました。
彼が”Calendar”と言うと、Siriに”…… I don’t understand”と言われてしまいます。
試しに僕が”Calendar”と言うと、Siriが”Here is your calendar”と答えてiPhoneの画面にカレンダーのアプリが立ち上がりました。

なにが違ったのか?
上司はシンガポール英語の発音、
僕はアメリカ英語の発音でSiriに話しかけたのでした。
Appleはアメリカのシリコンバレーの会社です。
はじめはアメリカ英語の発音しか聞き取れなかったんですね!
筆者が経験したおもしろいバイト
その後、ネットでできるアルバイトを探していたら、おもしろいのを見つけました。
「人工知能に発音を機械学習させる」仕事です。
まず、自分の出身地とだいたいどこの地域の発音の英語を使う人かを選択します。
僕の生まれは日本ですが、育ちはアメリカなので日本人アメリカ英語を選択して発音に挑みました。
(日本人で特にこの地域の英語!というものがなければ、選択しなくてよかったはず。日本人が英語を話すときの傾向が記録されていきます)
英文がずらーっと並んでいるスクリプトが送られてきて、iPhoneに向かってひたすらその英文を読み上げます。

これを世界中の人がしたのだと思います。
Siriは世界中の違う訛りの英語をインプットしました。
これで言語設定をアメリカ英語にしていればアメリカ(訛り)で話していても聞き取ってもらえますし、
オーストラリア英語を選択しておけば、アメリカ英語の認識の精度は落ちますが、オーストラリア英語の認識能力はぐんと上がるといった具合に成長しました。
僕はオーストラリア英語を聞き取れません…AIに負けます。
人工知能のこの機能、すごいんです!!
というのも僕はアメリカ英語以外は聞き取るのにかなり苦戦します。
シンガポールや中国、ヨーロッパなどの英語がネイティブではない国々の人が話す英語はOKなのですが、
イギリスやオーストラリアは皆母国語ですらすら話せるため、早口です。
こうするとびっくりするくらい聞き取れなくなります。
高校生の時に英検1級を受けたときに、リスニングでひとつはアメリカ英語、もうひとつはオーストラリア英語があたりました。
アメリカ英語だった設問は満点、オーストラリア英語の設問は0点という極端な結果に。
オーストラリアの設問に関しては、話題が半分くらい終わるまでなんの話をしているかすら分かりませんでした(笑)

僕は北海道のニセコで会社員をしていたことがありますが、ニセコで一番多い外国人はオーストラリア人です。
これまたゆっくり言ってもらえないと聞き取れないことが多く…苦労しました(苦笑)
冬に働きにくるシーズンスタッフにカナダやアメリカ人がいると、コミュニケーションにストレスがないのですぐ仲良くなっていました。
全世界の英語を理解するのが簡単になる
どうしても、聞き取りやすいアメリカ英語のニュースやコメディ、ドラマを選びます。
でも字幕が出てくれるなら?
他の英語圏のものも視聴しながら字幕をみてしっかり理解できます。
これを通訳に落とし込むと?
いくら通訳をしている人間でも、他の英語圏の英語でコミュニケーションをしている時は、95%くらいしか認識できていないのではと思います。
でも文章の流れで推測ができるから、なんとかなります。
でも人工知能は100%に近い精度でどの国人の英語も聞き取ることができる日がすごく近い。
それを他言語に翻訳する精度も急速に進んでいるので、今の通訳の仕事だけに絞ると、
通訳の仕事は不要になる可能性があります。
でもじゃあ通訳の仕事はなくなるのか?と言われればそんなことないとも思います。
通訳の役割が少し変化する
人口知能をうまく活用して従来の仕事は人工知能にゆずり、通訳は少し人間にしかできないこと寄りに仕事の内容が変化すると思っています。
例えば、ファシリテーション。
会議の場で目的をもってゴールに向かって議論をするとき、
人工知能を得意とするのは忠実に議論されている言葉をそれぞれの言語に通訳することです。
でも出てきた議論の内容に合わせて適切な人に話をふったり、話をまとめながら議論をゴールに向けて誘導していくのは人工知能は不得意です。
こうして人口知能に翻訳や通訳をアシストしてもらいながら、通訳という仕事は残り少し仕事内容が変わっていく。
求められる役割が若干変化して、でも仕事の質は向上する。
それが近い未来ですぐイメージできる通訳像です。

もしかしたら、ファシリテーションすら人工知能ができてしまう世の中がすぐきてしまう可能性も0ではないですけどね!
そうしたら、僕はどうすればいいのでしょうか(笑)
ワクワクするような、怖いような、混在した気持ちです。
英語を勉強する必要はある?
日常会話なら勉強する必要はなくなるかも
人工知能の台頭で、もはや「英語を勉強しなくても世界中の人とコミュニケーションがとれるのでは」
と思う方もいるかもしれません。
日常会話レベルなら、確かにそうかもしれません。
インバウンド対応なんかは大体話題は「〜〜に困っている」「〜〜に行きたい」「〜を食べたい」など、
会話内容にパターンがあります。
こういった日常会話くらいなら、勉強しなくても人工知能を活用すればいいかもしれません。
ビジネスレベルは人工知能にはつとまらなそう
ただ、より踏み込んだ内容を英語で会話する時は人工知能は頼りないかも。
ネイティブは自分が話す英語にひねりを使って皮肉を言ったり、
言葉で遊んで冗談を言ったりすることも多いので、
これを人工知能が正確に認識するのは至難の技です。
また、「社会人なら正しい日本語を使え!」と言う先輩会社員がいるように、
海外の英語人材も「この場にたちたいなら必要最低限の英語くらい勉強しろ!」と思っている人もいます。
英語を勉強するのも、人工知能のアシストを使えばより簡単になっていきます。

これをチャンスととらえ英語を習得すれば、
英語がツールとなって必ず自分の可能性や世界を拡げてくれると思います。
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